「キングコング」ネタばれ感想★★★★★
「山師と母性の物語…」
言わずと知れた特撮映画の原点を、指輪物語のピーター・ジャクソンがリメイクした作品です。
正直、期待してませんでした。
「未開の島にいた巨大な猿をアメリカへ連れて行ったら、逃げ出してエンパイヤステートビルに登って、殺されるだけの話でしょ?」
って、なめてました。
でも、さすがピーター・ジャクソン!
すごい(長い;)映画です!
スカルアイランドの濃密な自然描写。
子供騙しではない、キングコングの造形の素晴らしさ!
あくまで巨大生物として描かれるその姿は、重厚でパワフルかつスピーディーであり、人間に媚びる事がない。
金髪美女アン・ダロウとキングコングの関係は、まるで親子のようだ。
コングが偶然手に入れたお気に入りのおもちゃ=アンを守るために全身全霊を傾ける姿は、とても美しい。
その姿を見守るうち、アンの心は、やんちゃでわがままな子供を見守る母親の視点に変わっていく。
映画監督カール・デナムは、山師という表現がぴったりの男。
ラストシーンのセリフが、その山師ぶり、身勝手ぶりの全てを表している。
アンに全ての責任を転嫁するその姿は、耐震偽造問題の当事者達を想起させる。
彼には、アンの見抜いたコングの本質を、絶壁の上から眺める夕日の、ビルの頂上から眺める朝日の美しさを理解することなど不可能でしょう。
ただ一つ、コングにあれだけ振り回されながら、あばら骨の一本も折れた様子もなく、化粧もほとんどくずれないアンこそが、この映画最大の謎かもしれません(^^ゞ
蛇足ですが、リアルな虫が大量に出てきます。嫌いな人は、避けた方が良いかもです。