オルタード・カーボン(上) 

著者:リチャード・モーガン
訳者:田口俊
ISBN:9784757217638

オルタード・カーボン(上)

オルタード・カーボン(上)

ーーーーーーー
あらすじ:
27世紀。
それは、魂=記憶を電子的に記録できることが常識となった世界。
クローンされた肉体や、犯罪者の肉体(この世界の禁固刑=保管刑は、電子化された魂を肉体から取り出され、記憶媒体上に刑期の間保管される。そのため、肉体は他人のものとされる場合がある)に埋め込まれた、「スリーブ」と呼ばれる電子媒体に魂を転写することにより、(金があれば)永遠に生き続けることができる世界・・・

タケシ・コバヴィッチは、保管タンクの中で、生々しい死の記憶にさいなまれながら目を覚ます。
見慣れない場所、見慣れない体・・・状況が把握できない中、ローレンス・バンクロフトから、自分=ローレンス・バンクロフト殺しの犯人捜しを依頼される。
ーーーーーーー
感想:
「SFハードボイルドミステリ」とうたってある通り、主人公は元特殊部隊(エンボイ・コーズ隊員)出身・・・
銃器の扱いに長けていて、タフな主人公といえば、やはり元軍人(特に特殊部隊)なんですな。
でも、主人公、人殺しすぎです・・・
魂が電子化されている(ただし、基本的に現世?には1つのコピーしか実体化できない事になっている。違法行為をすれば別らしいが・・・)ので、肉体に埋め込まれたスリーブを破壊されない限り、何度でも生き返ることができるとはいえ、なんだか手当たりしだいな感じですな。しかもRD(スリーブごと肉体を破壊し、遠隔で記憶とかを保管していない限り復活不可な状態=リアル・デス)しまくっているし・・・

ストーリーに関しては、特異な設定とそれにまつわる用語にとまどったりする部分はあるものの、なかなか面白く読むことができます。
ただ、物語の前半にでてくる比喩表現がなんだかウザくて、何度か読むのを辞めようかと思ってしまいましたが、そこを乗り切れれば。なかなか面白い話です。

ーーー
「肉体に魂をダウンロードする」とか、「クローンに魂を移植する」的な物語って(アバターとか)ありますが、魂の移植先の肉体には魂といいうか、自我が宿らないのだろうかと不思議に思います。
現在一般的に存在する家畜のクローンとかって、単にDNAが同じというだけで、1つの独立した生物であるわけで、他から移植されなくても魂も自我も存在するはずで、そこに他者の魂が上書きされる余地はないと思うのだけれども・・・
個人的には、その部分がどうにも納得できなくて、気持ち悪さがのこるんですよねぇ。