オルタード・カーボン(下) 

著者:リチャード・モーガン
訳者:田口俊

オルタード・カーボン(下)

オルタード・カーボン(下)

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あらすじ:
27世紀。
魂はデジタル化され、人体に埋め込まれたデジタルメモリーにダウンロードすることによって、人種・性別・年齢に関係のない外見=肉体をまとうことができる世界・・・
バンクロフト殺しの犯人捜しを強制されたタケシ・コバッチは、真相に肉薄するが・・・

感想:
肉体は、魂を入れる器のみとして存在する世界で、ダウンロードした魂と肉体とのギャップに翻弄される人々&主人公。

そんな、あまり羨ましくないダークな未来世界で繰り広げられるこの物語は、ハリウッド的アクション作品として面白く読めました。

バンクロフト殺しのトリック?は奇想天外・・・なものではありませんでしたが、世界観に沿った「なるほど〜」といった感じのものでした。
−−−
本作を読んでいて気になったのが、登場人物の大人たちがすべて魂を電子化され、肉体と切り離された存在として描かれていること。
この世界では、いったいどんなタイミングで電子化されるのだろう?
作中では・・・
1)保管刑になった囚人
2)金持ちが延命するため
3)他星系に移住する人々

といった描写が出てくる。
子供は普通に生まれてくるようだけれど、コバッチはスリーブを破壊する時に「電子化されていない」魂に関して考えることなく処理していく。宗教的信条で、魂の再生を拒否する人々は、そもそも電子化自体を拒否すればよいと思うのだが、作品に描かれない設定で必ず電子化が必要な世界になっているのでしょうか?

まぁ、そんなどうでもよいことが気になってしまった;
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あと1点。
アスペクト文庫版P246「オルテガは黙ってうなずくと、クルーザーに乗り込んだ。」の部分は、「カドミンは・・・」の間違いだと思われるんですがどうなんでしょ?
この時、オルテガは、スタンボルトを打ち込まれて身動きが取れず、道端に放り出されていたのだから・・・