ジェットコースターに乗る彼女【第13話】

「ちょっとコンビニ寄ってこうか…」 
 ステラさんがカバンを探って携帯を取り出すのを横目で見ながら、僕は車をコンビニの駐車場へ入れた。
「ちょっとトイレ…行ってくる。」
「うん」って生返事したステラさんは、電話がつながらないようで、少しイライラしながら何度もかけ直していた。
 コンビニで少し時間をつぶし、とりあえず、あったかい缶コーヒーを二人分買って、車へ戻った。
―――
「ほい」
 ステラさんに缶コーヒーを渡す。
「…ありがと…」
 僕は、窓の外を見ながらつぶやくステラさんに、かける言葉か見つからなかった。
――― 
「ちゃんと話して欲しかったな…」
 手の中で冷たくなった缶コーヒーを持て余し始めた頃、ステラさんがつぶやいた。
「ごめん…
 Kさんに電話、つながった?」
 幼い子供のように、首を左右に振る。
「ドライブしてるみたいで、つながらない…」
 どこまで話すか、少し悩んだけど、できるだけ詳しく話す事にした。
(もちろん、Kさんがセクシーでドキドキした事は話さなかった;) 
―――
「ふぅー」って、ステラさんが大きなため息をついた。
「何か、食べるもの買ってくる。」
 ドアを開け、小走りでコンビニへ入って行く。
 僕は、冷めた缶コーヒーを飲みながら、彼女が帰ってくるのを待った…
―――
「肉まんとあんまん、どっちがいい?」
 明るく言いながら、彼女は助手席に座った。
「早く出発しよ!」
 わたし、あんまんねって、食べ始めた彼女に戸惑いながら、僕たちは遊園地に向かった。
―――
「あっ!クイーンの車だ!」
 真っ赤なユーノスロードスターが、猛スピードで追い抜いていくのを見て、ステラさんが叫んだ。
―――
(ごめんなさい…まだ、つづきます;だって、こいつら、なかなか遊園地へ行かないんだもの…)